私を雪中バトルロワイヤルに連れてって



 そこは雪の惑星。
 見渡す限りの大雪原の中、女王陛下とその補佐官、そして守護聖の面々が立っている。
 吹雪が近いのか空はどんよりと曇り、粉雪がちらほら舞い落ちている。しかしそれを全く気にしていないかのように、守護聖の目は血走り、お互いを強く見据えている。
「ルールは簡単。最後まで立っていた者の勝ち。ただし、攻撃手段は雪玉のみ。勝者には一ヶ月の特別休暇、豪華別荘付きを約束するわ。みんな準備はいい?それでは試合……開始!」

▼   ▼

「まったくもーいーかげん疲れるぜ」
「そうだね、僕なんかもう二ヶ月も休みがないよ」
「こら、二人とも。『今、長引く不景気で全宇宙は疲弊している。しかしこれは我々守護聖の怠慢の結果でもある。したがって今こそ我々は身を粉にして働かざるを得ないのだ』だよ」
「つーかそれ、今朝の朝礼の言葉じゃないか。覚えてくんなよなー頭悪いくせに」
「頭悪いはよけいだよ。こうやって毎日朝から晩まで働いていると、なんていうかこう脳細胞が活性化されるんだよ」
「…もう重傷だぜ…だいたいこのくそ忙しいのは陛下のせいだぜ。あのわがままさえなけりゃ…」
「だめだよゼフェル。そんなこと言っちゃ…」
「ゼフェルく〜ん」
「陛下!」
「どうやらもっと働きたいようね。サービス残業、増やそうかしら?」
「…お願いします。それだけは…」
「そうねぇ、ま、いいわ。そうそう、今日は相談があったんだ」
「?」
「君たち、雪合戦は好きかしら?」
「好きー(×3)」
「それじゃ、決まりね!」

▼   ▼

「私はこういうのが苦手なので、とりあえず森の方へ逃げさせていただきます。あ、痛い、痛い、痛い。みなさん堅く握りすぎです。痛い。どうして私ばっかり狙うんですか…」
「フフフ、私の七つある特技のうちの一つがウインタースポーツだってこと、知らなかったって言わせないわよ☆」
「チュピ、これが雪景色だよ}
「ハハハハハハ」
「いくぜ!速射雪玉銃!」
 ダダダダダ…ドカ〜ン
「………」
「………」
(光と闇の両者、雪玉を手にして、無言のうちににらみ合っている)
「お前のことは前から冷たい奴だと思っていたけど、こんなに雪と仲が良いとはな。先祖は雪女だったんじゃないのか?」
「そういうそちらこそ、お手玉遊びをどこの女性に教えてもらったのですか? こんな雪原で発情できるなんて、きっと先祖は雪男だったのでしょうね」
「みんなまとめて始末してくれる!いくぜ!巨大雪玉砲!」
 ジジジジ…ドカ〜ン
「ハハハハハハ」
「チュピーっ。死んじゃ嫌ーっ」
(そりゃ熱帯の生き物だから雪山はまずいですよね…)
「………」
「………」
(両者、雪玉を手ににらみ合っていたが、吹雪のため、もう腰まで雪に埋まっている)
「とりあえず『かまくら』を作って、と。それではお餅を焼きましょう」
「(ボスッ)誰よ! 顔に当てたの!ああっ、メイクが!」
「雪山では裸で暖め合うのが一番だからといって、私を襲わないで下さいね」
「誰が襲うかよ。ニホンザルと温泉入っているほうがまだましだぜ」
「最終兵器! 大雪崩発生装置発動!」
……ゴゴゴゴゴ(成功)…


「あー残っているのは私だけになりました…、痛っ!もうだめですぅ」
「やったー私の勝利!」
「卑怯です…陛下が参戦するなんて…」
「ふふふ、女王が参加してはいけないなんて、一言も言ってないわよ。これで一ヶ月の休暇は私のもの…きゃっ!」
「そう、補佐官が参加してはいけないとも、言ってないわよね」
「そんなぁ…」

▼   ▼

「だから、私は休暇中のはずよ」
「だってぇ、ロザリアがいないとなんにもわかんないんだもん」
「陛下、この書類をお願いします」
 こうして、女王陛下と補佐官ロザリア、守護聖の面々は一ヶ月間、聖地を離れ別荘にて過ごすことになった。

同人誌掲載時には
各キャラのフォントを全部違うものにしてました。
ものすごく時間がかかって、ものすごく後悔しました。


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